すれてない人

以前,とある知人に
「いじめと下ネタでないお笑いが好き」
といわれた.


私はものすごく戸惑った.
お笑いというのは結局のところ「他者をあざ笑う」行為であり,差別やいじめに他ならないと考えていたからだ.
いじめや下ネタの無いお笑いってなんやろう.わからん.


その知人と「大日本人」を見に行った.
感想を聞くと「面白かった」とのこと.


私はますます混乱した.
大日本人」は「伝統にがんじがらめにされているおっさんの悲哀をあざ笑う」話である.
いじめそのものやん.


観察および考察の結果,「いじめと下ネタでないお笑いが好き」というのは「いじめや下ネタが存在しないお笑いが好き」ということではなく,「いじめや下ネタと感じないお笑いが好き」ということなのだなと思い至った.
私は本当に本当にびっくりした.「感じない」と「存在しない」を区別しないとは!


物事を見るときは知人のような姿勢が普通なのかなとも思う.
たとえばお笑いの人にしても「俺達は今,あざ笑われている!」と感じながら仕事するのも気分悪いやろうし.


私はその知人のこういった「すれてなさ」が珍しく,また気に入っていたのでもう少し観察したかったのだが,話が合わないので会わなくなってしまった.残念.
「『さよなら絶望先生』はブラックで面白い」と感じる人と,「ブラックなマンガといえばねこぢるが入門かな.山野一根本敬までいくと本格」と思う人とは話は合わないと自分でも思う.


ぢるぢる旅行記 (インド編) (Bunkasha comics―Manga Aloha! series)

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これはねこぢるの中では毒の少ない本.奥様にもオススメ!