不屈の闘志
じいさんが入院した.
私は通常,病気見舞いというのにはあまりいかない.治りが早まるわけではないし.
しかし,今回は「肺炎,心不全,腎不全の併発」というかなりフラグがたっているご様子だったので流石に見舞いに行った.嫁を連れて.
病室に入るとじいさんは元気なく,「もーあかんわ」とうめいていた.
「そんなこといわんと.はよ元気になってウチにあそびにきてな」と手を握ると喜んでくれた.
嫁も一緒に「おじーちゃん,元気出してね」とじいさんの手を握った.
もうそろそろ帰ろうと思ったのだが,じいさんが嫁の手を離さない.
「じーさん,どうしたん?」と聞くと
「うふふふふ,お前の手よりやわらかい〜,やわらかい〜」
といいながら嫁の手をにぎにぎしていた.
「あ,あと十年は大丈夫」と思った.根拠はありませんが.